- 断熱性能
- 公開日:2021.6.11
更新日:2024.8.20
ハウスメーカーで良く聞く、24時間換気システムって何?必要性や種類を解説
目次
24時間換気システムとは、名称の通り24時間吸気と排気を行うことで、室内の空気を循環する仕組みです。
そもそも住宅の中を24時間換気することは、2003年の建築基準法改正で義務付けられています。その主な目的はシックハウス症候群対策です。当時は壁紙・フローリングなどの建材や家具などに使われていた接着剤に含まれる、ホルムアルデヒド等の化学物質による健康被害(シックハウス症候群)が社会問題になり、こうした健康被害を防ぐために24時間換気設備の設置が義務化されました。最近では建材に使用する接着剤の改良などにより、化学物質による罹患は押さえられてきましたが、近年では、結露によるカビ・ダニの発生が原因のアレルギー疾患が増えています。理由としては、年々住宅の気密性能が高まっているため、換気を止めると結露しやすくなる為です。以前は化学汚染が中心でしたが、今は生物汚染が中心になっています。どちらの汚染にしても目に見えない空気の汚染を取り除くことが必要なため、マンションや一戸建てなどの住宅には24時間換気システムが必要になります。
24時間換気と換気扇の違いは?
「換気」と聞くとキッチンやトイレにある換気扇を思い浮かべると思います。24時間換気と、このいわゆる一般的な換気扇は役割が全く違います。24時間換気の役割は室内の空気を循環させる仕組みで、空気を循環させることで、シックハウスや結露を防ぐ役割がある為、常に動かす必要があります。一方の換気扇の役割は短期間で空気を入れ替えることです。例えばキッチンの換気扇(フード)は料理の臭いを排出することで、キッチン内に嫌な臭いを立ち込めないことが目的です。浴室の換気扇は湿気を浴室から逃がすことでカビの発生を防いでいます。その為、特定の部屋に主に設置し、常に動かす必要はなく、必要な時に必要な時間動かすのが換気扇です。
24時間換気には色んな種類がある!
24時間換気システムには大きく分けて3つの方法があります。それぞれに給気と排気に違いがあるのでまずはそれぞれの違いを知る必要があります。
第一種換気
「第一種換気」は給気と換気どちらにも換気扇(ファン)などの機器を備えることで、家の中に空気の流れをつくる換気方式です。
メリットは窓の開閉などの影響を受けにくく確実に換気を行うことができ、換気ユニットやダクト(パイプ)を備えれば、各部屋を確実に換気できます。給気口に高性能フィルターを組み込むことで、花粉やPM2.5などを除去できたり、熱交換器を使用することで室内の温度、湿度を逃がさず省エネにもつながります。
デメリットは他の方式よりもコストがかかることや、気密・断熱の計画がしっかりできていないと、しっかりした換気計画が立てにくいところです。
第二種換気
「第二種換気」は給気を機械換気でおこない、排気を自然排気する方法で、住宅ではほとんど導入はない方式です。
メリットは換気扇などの機器が給気側のみの為、第一種換気と比べコスト面で有利です。
デメリットは、給気と排気のいちによっては、各部屋をしっかり換気するのが難しい。
第三種換気
「第三種換気」は換気扇などの機械換気で家の中の空気を排出することで、家の中の空気圧をマイナスにして、自然吸気する方法です。一般的にはトイレや浴室などに排気口を設けて、そこから離れていて、かつ外部に面した部屋の壁に給気口を設け、住宅では一番多く取り入れられる方法です。
メリットは、コスト面でその他の換気方式よりも優れている。
デメリットは、気密性が低いお家の場合、各部屋の換気がしっかりできなくなり、その他窓を開けると、各部屋の換気がしっかりできないほか、花粉やPM2.5等が室内に侵入しやすいです。
住宅の主流は第三種から第一種に!
3つの換気方法の中で第二種換気は、住宅ではほとんど採用されていません。その為、第一種換気か第三種換気が主な住宅換気方法です。コスト面で有利な第三種換気はこれまでの主流でした。しかし、最近はコストよりも省エネ志向や健康志向に合致する、「第一種換気」が増えています。
ZEH住宅普及など特に最近の住宅は省エネ住宅が主流になっています。ところが換気扇を24時間運転することにより、屋外の空気を取り入れる為、夏は蒸し暑く空気を、冬は冷たい空気を取り入れてしまうため、24時間換気システムと省エネを両立するのは難しい状態です。そこで使用されるのが熱交換器(下で説明)です。第一種換気なら熱交換器を合わせて使える為、室内の温度・湿度を保ちながら、空気の入れ替えができるので、第一種換気+熱交換器の採用が増えています。
エアコンの効きを落とさない24時間換気システムの秘密
熱交換型換気システム(第一種換気+熱交換システム)で室内温度を保ちながら空気のみを入れ替える
新鮮な空気と汚れた空気だけを入れ替えて、室内の温度はそのままにしておくそんな製品。それを可能にするのが熱交換器です。熱交換器にも室内の温度のみを保つ熱交換器と、室内の温度だけでなく湿度も保つ全熱交換器があります。全熱とは「顕熱(温度)」・「潜熱(湿度)」の両方を意味します。海外の住宅に多い顕熱のみの熱交換器だと、室内の湿度は変わってしまします。夏に湿度が高くなる日本では、熱交換器を合わせる場合、全熱型の熱交換器が向いています。
戸建て住宅に人気の「第一種換気+熱交換システム」価格や電気代は?
全熱交換器を合わせた第一種換気は、室内の温度・湿度を保ち、空気の入れ替えも行う理想的な換気システムですが、従来主流の第三種換気と比べ導入価格や電気代のコストには違いが出てきます。
導入コストを考えるとやはり、第三種換気の方がコスト面ではどうしても有利に働きます。ただし、冷暖房費や快適性・健康面を考えると、室内の空気や温度の環境が良い第一種換気+熱交換システムは導入コストだけでは考えにくいです。一戸建てを建てる場合、今現在だけでなくこの先何十年を見据えて計画する必要があるますので、初期の導入費用だけでなく、冷暖房費や健康でいられることによる医療費抑制など広い範囲でのランニングコストを意識する必要があります。
「第一種換気+熱交換システム」更に高性能フィルターやエアコンを加えた、夢の全館空調システム
メリットの多い「第一種換気+熱交換システム」ですが更にそこに高性能フィルターを加えより空気環境をよくし、エアコンなどの空調機を合わせた全館空調システムはこれからの住宅つくりに重要なシステムです。ハウスメーカーなどでは採用も増えていますが、工務店などではまだまだ採用も低く、建築可能な会社も少ないため、課題も多いシステムです。住宅の性能向上に合わせ、より快適に過ごせる、住まいが増えた近年建てる側の施主の情報収集はこの先何十年と住む住まいに大きな違いが生まれます。
まとめ
CRATCHでは、「第一種換気+全熱交換器」を採用した24時間換気システムを標準採用し、このシステムの能力を最大限発揮できるよう、断熱・気密・透湿性能の高い住宅を考えています。
どんな家でもシステムさえ揃えれば快適に過ごせるとは限りません。最良のシステムの能力をしっかり発揮するためには器になる建物自体の性能が最も重要です。
システムだけの情報を調べるだけでなく、住宅本来の性能をしっかり把握して、建築を進めることをおすすめいたします。
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