最近の住宅業界裏事情~ハウスメーカーと工務店と設計事務所どれが安い?
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  • 公開日:2023.11.15
    更新日:2023.11.16

最近の住宅業界裏事情~ハウスメーカーと工務店と設計事務所どれが安い?

新築住宅を建てる際、多くのご家族が考えるのは「どこに住宅の建築を依頼するのか」ということかと思います。大手ハウスメーカー、地元の工務店、あるいは設計事務所の中から選ぶことになると思いますが、それぞれの特色などを理解することで、ご家族にあった家づくりへの道がより見えてきます。

ハウスメーカー編

ハウスメーカー編

ハウスメーカーのメリット

ブランド力

全国各地に住宅展示場や工場があり、CMなどのイメージやブランド力は魅力の一つと言えるでしょう。高級感のあるデザインのハウスメーカーも多く、顧客満足度を高めてくれます。

企業安定性

特に上場している大手ハウスメーカーは、企業の安定性が高く、安心感があります。

独自の工法

大手ハウスメーカーは、会社独自の工法や規格をもっています。木質系、軽量鉄骨系、重量鉄骨系、鉄筋コンクリート系など構造の違いなどが多々あります。工場生産の家などもあり、工法ごとの特徴やメリットは様々です。

アフターサービス体制の充実

定期的な点検や延長保証制度が整っています。万が一のトラブルにも迅速に対応できるようにコールセンターと24時間連携しているところが多くなっています。

豊富な展示

一般的に全国展開をおこない、営業しているため、住宅展示場などでモデルハウスの見学ができます。モデルハウスは豪華過ぎて実感がわかないという方もいらっしゃるかも知れません。そのような方は、実際に大手ハウスメーカーの完成見学会に参加されると良いかもしれません。

ハウスメーカーの裏事情

金額

大手ハウスメーカーは一般的な相場より値段は高額な傾向です。そこには、全国展開する住宅展示場や営業所などの固定費やスタッフなどの人件費、テレビCMのような広告宣伝費や開発費などの販売管理費が影響していると言われています。その結果、住宅の粗利部分は大きくならざるを得ない事情があります。

プランニング

セミオーダー中心で、設計の自由度は低いといえるでしょう。そのためプランや住宅設備や建材の制約を受けることがあります。

アフターサービス体制

全国規模で展開し建築棟数も多いためアフターサービスはシステム的に管理されているようです。書面に記載された内容以外のサービスはオプション扱いとなり割高になることも多いようです。

工務店編

工務店のメリット

現場に強い

工務店のなかには、大工や水道、基礎といった専門業者からスタートした工務店があります。こうした背景を持つ工務店は、独自の職人を擁し、豊富なノウハウと高い技術力で様々な現場事象に即応できる強みを持っています。

アフターサービスの対応

地域密着型の工務店は、地域の方からの厚い信頼を大切にしています。そのため、トラブル時の迅速かつ柔軟な対応や、手厚いアフターサービス、定期メンテナンスのサポートに力を入れています。この高い信頼度が、多くの口コミ紹介を生んでいます。

地域に密着

地元での実績が豊富で、エリアの気候や土地の特性を熟知しているため、それに合わせた家づくりが可能です。一方、全国展開するハウスメーカーでは地域に合った仕様への対応が難しいケースも少なくありません。

こだわりの家づくり

完全注文住宅の体制を採用している工務店が多く、顧客の要望や外観や内装のこだわりを反映しやすいと言えます。理想の間取りや人気の仕様や部材などを取り入れた完全オーダーメイドの家が実現可能で、融通が効くのが工務店の良さと言えます。

コストの明確さ

専門分野から派生した工務店の場合、自社で施工を行う部分も数多くあり、中間マージンが少なくなります。そのため、価格が比較的リーズナブルになります。

高性能住宅

工務店の中には、断熱性、耐震性、耐久性などについて研究を重ねる大手ハウスメーカーに引けを取らない住宅性能を持つ工務店も少なくありません。

工務店の裏事情

いろいろなタイプがある工務店

例えば、工務店を会社の規模で分類すると、ハウスメーカーの下請けが中心で、たまに注文住宅を受注する「下請け中心工務店」からビルダーと呼ばれるような年間数十棟から数百棟の注文住宅を受注し、不動産開発も行う「大規模工務店」まで存在し、会社の規模により経営手法は異なります。

会社規模と性能は比例する?

消費者の立場からすると、大手ハウスメーカーのように経営規模の大きな工務店の方が建物の品質は良いような印象を持つかもしれません。しかしながら、工務店の場合、規模が大きくなるからといって、住宅性能が良くなるわけではないので注意が必要です。

選び方に注意

会社の規模に関わらず、工務店ごとに最新知識や技術革新の取り入れ方に違いが出ているのが業界の実情です。工務店の最新知識や技術革新のばらつきは、注文住宅の住宅性能という形になって出てくるので、新築を検討されている方にとって注意が必要です。

住宅性能の高い工務店

独自の研究や取り組みを進め、高性能住宅を提供する工務店もあります。高性能住宅は、家計に優しい経済的メリットをもたらすと言われます。さらに、許容応力度計算を経た住宅は、地震に対する強さを持ち、住む人に安心感をもたらします。

住宅性能の低い工務店

工務店に多いかも知れませんが、住宅性能の低い住宅会社では2024年以降、新築住宅に対して行なわれる税制上の優遇措置を受けられない可能性があります。要注意です。

2025年建築基準法の改正

2025年に建築基準法の改正が行なわれます。現状の建築基準法よりも改正建築基準法は住宅性能の低い工務店にとって負担が大きくなると言われているので、対応できない工務店が出てくるかもしれません。

品質のばらつき①

このように工務店によっては技術力や施工の品質が異なる場合があります。ホームページのお客様の声や施工事例、口コミなどをチェックすると、工務店の実力がある程度わかります。

品質のばらつき②

あなたが気になった工務店の住宅性能がどれくらいか気になった場合、C値やUa値などの性能値を調べてみると良いでしょう。わからなければ担当者に聞くと教えてくれます。これらの数値は住み始めてからのランニングコストや生涯に渡るライフサイクルコストに関わるため重要です。

価格の安さ

工務店で建てる住宅は、ハウスメーカーと比べ、同程度の性能であっても、価格がリーズナブルなことが多いです。一部のハウスメーカーでは住宅の粗利が1,000万円近くに及ぶことがあると言われますが、工務店ではそのような高額な利益は稀。これは、工務店が全国規模でのブランド戦略を重視せず、地域密着型のサービスを優先しているからです。

倒産リスク

小規模建築業者の場合、倒産のリスクがあります。特徴が少なかったり、知識取得や技術革新を行っていない建築業者は一般の方からの需要はなくなり淘汰されます。いずれ倒産の割合が高くなると言えるでしょう。

施工エリアが限定的

工務店の場合、施工エリアが限定されることがほとんどです。全国各地に拠点を持つハウスメーカーとは大きく異なる点です。アフターサービスの対応が出来ないような場所は工務店側が施工エリアから外しているようです。

工期が長い

ビルダーでは効率的な管理のもと、工事を迅速に進めることを特徴としています。対照的に、一部の工務店では手間暇をかけて丁寧に工事を行うため、工期が長くなることも。物件や要望によって、短期間のプロジェクトから、細部にこだわりを持ち時間をかけるものまで、様々です。

設計事務所編

設計事務所編

設計事務所とは、正確には「建築士事務所」としての登録を受けた建築設計事務所を指します。ハウスメーカーや工務店も「建築士事務所」登録をしていますが、一般に設計事務所というと建築設計のみをおこなう事務所になります。

設計事務所のメリット

高いデザイン性

ほとんどの設計事務所は「意匠(デザイン)設計」が中心です。意匠設計事務所は、アトリエ設計事務所とも呼ばれ、理想の家を形にするため、デザイン性に優れた提案を得意とします。また、地震などに関わる構造設計もベースに取り入れた意匠設計事務所もあります。

フルオーダー

顧客のライフスタイルや趣味、価値観を最大限に取り入れた自由度の高い家づくりが可能です。

設計事務所の裏事情

金額

設計事務所に依頼するとどれくらいの費用がかかるのでしょうか。設計費が建築費に上乗せとなる場合が多く、設計事務所に仕事を依頼するときの費用(設計監理手数料)は、総工費の約10%から20%ほどであることが多いと言われています。

住宅性能編

家

ここからはハウスメーカーや工務店に関わらず、関係する住宅性能について考えてみましょう。

工法ごとに存在する性能差の裏事情

①鉄骨住宅

住宅業界全般に言えることですが、鉄骨を主体として採用する住宅会社を選ぶ際には慎重になることが大切です。確かに、鉄骨住宅は堅牢さが売りですが、鉄の熱伝導率の高さゆえ、断熱性能に課題が生じることがあります。その結果、優れた断熱性能を求める場合、追加の費用が必要となることがあるので、注意が求められます。

②性能値

断熱性能や気密性能などの性能値には、工法ごとに得手不得手があります。例として断熱性能を取り上げた理由は、エネルギー価格の近年の上昇を背景に、電気代などのランニングコスト削減の可能な住宅が高く評価されているためです。

③断熱性

電気代の上昇はもちろん、部屋間の温度差が生じることがあります。これは住み心地を損ねるだけでなく、冬場のヒートショックなどご家族の健康にも影響を及ぼす可能性があり注意が必要です。

④木造住宅

工法ごとに存在する性能差の裏事情④

省エネと快適な暮らし、コストパフォーマンスを重視するなら、木造住宅がおすすめです。厳密には「木」は断熱材とは言えませんが、鉄やコンクリートに比べて熱を伝えにくい特性を持っているため、効率的に快適な住まいを実現するのに適しています。

⑤木材の耐震性

工法ごとに存在する性能差の裏事情⑤

木材は、その軽さと強度で耐震性に優れています。例えば、木の引っ張り強度は鉄の4倍、コンクリートの200倍。圧縮や曲げにおいても、木は他の建材を圧倒的に凌ぎます。これらの特長を生かし、許容応力度計算に基づく構造計算で設計された住宅は、地震に強い安心の空間になります。

番外編(坪単価比較)~その価格差は合ってる?

番外編(坪単価比較)~その価格差は合ってる?

各メーカーや工務店を回った後に金額比較の際に多くの方が目安とするのが坪単価になるかと思います。ここでは坪単価について考えてみたいと思います。

坪単価の安い住宅の注意点

ここでは巷でよく利用される坪単価(一坪あたりの単価)について解説したいと思います。

坪単価を比較するときの注意点

①坪単価の計算方法

坪単価は指標のひとつとして、利用されていますが注意が必要です。なぜなら、坪単価の計算には明確な正しい式というものは存在しないからです。坪単価の計算は金額÷坪数となりますが、どこまで含んだ金額かによって単価は異なります。

②坪単価に含まれる項目

例えば、トータル見積金額と坪数が同じ住宅メーカーAとBがあったとします。水道敷設工事を含んだ金額を出すAと含まれていない金額を出すBとでは、当然Aの坪単価の方が高くなるのでAの方が金額が高い印象を受けてしまいます。このように他の項目についても含む・含まないがあるので、注意が必要です。

③設備全般にかかる費用が坪単価に含まれているか

なかには、設備全般をオプション扱いにして、坪単価を計算し、坪単価を安くみせているメーカーもあるようです。それ自体は違法でもなんでもないのですが、選ぶ方からするとわかりづらいかも知れません。

④延床面積か施工面積か

坪単価の坪数についても同様のことが言えます。延床面積で計算するのか、施工面積で計算するのかによっても異なります。施工面積の計算方法にも明確な正しい式というものは存在しないので、坪単価の計算の仕方については担当者に問い合わせることをおすすめします。

まとめ

まとめ

価格の比較と選び方

ハウスメーカー、工務店、設計事務所、それぞれの住宅建築の価格は、土地価格、材料や設備の仕様、家の規模や間取り、付帯工事などの要素によって大きく変わります。どれが最も安いかは一概には言えませんが、大手ハウスメーカーはブランド力のために広告宣伝費、研究開発費などの経費が当然、価格に上乗せされます。一方、工務店は、宣伝する機会が少ないため広告費は比較的少ない傾向です。価格がリーズナブルな場合もあります。

ライフサイクルコストから判断する選び方

その一方で、住宅の取得価格だけで判断するのはリスクがあります。特に、近年では電気代などのランニングコストが上昇していることから、住み始めてからの生活でみるライフサイクルコストの考え方が重要と言われています。また、施工の品質やアフターサービス、将来のメンテナンスのことも考慮して、トータルでのコストパフォーマンスや安心感を重視するのが望ましいと言えます。見積もりや担当者からの説明と、口コミ、評判、施工事例と考えることはたくさんありますが、断熱性能や耐久性能について、信頼できる業者を選ぶことが重要となります。

理想のマイホームを実現するために

家づくりはほとんどの方にとって一生に一度の大きな買い物です。お金の問題だけでなく、自身のライフスタイルや将来のことを考慮し、理想のマイホームを実現するための最適なパートナーを見つけることが大切です。今回は様々な会社の特徴やサービス・注意点をみてきました。ご家族の幸せを築けるよう後悔や失敗のない選択をするために役立てて頂ければ幸いです。

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